RESEARCHER’S EYE

リサーチャーズ アイ

由良川中上流部における魚類と水生昆虫を中心とした生態学的研究

中川 光(京都大学フィールド科学教育研究センター)

図1 由良川中流域(研究林事務所周辺)の魚類と各餌の食う-食われる関係。捕食者と被食者をつなぐ線の太さが食う-食われる関係の強さ(相互作用強度)を表す。

私は,上流・下流,季節や年によって様々に変化する川の環境の中で,魚や虫などの生き物たちが食う-食われる,餌や住みかをめぐって競争するなどした結果どのように生き物の集合の全体像,すなわち「生物群集」または「生態系」が形作られるのかに興味があります.研究活動は芦生研究林内を流れる由良川での野外観察がメインです.

例えば,これまで単純につながりの有る・無しによって示されることの多かった魚類と水生昆虫の食う-食われるの関係を,魚が1日あたりに食べる量,すなわちお互いの相互作用の強さをより厳密に記述することで,一見多くの種が絡み合って複雑に見える関係の中にも(図1),捕食者と被食者の体の大きさの違いによって相互作用の強さが決まるという単純なルールが存在すること,一方で,多くの生態学の理論の中で言われてきた,餌となる生き物の数の影響(たくさん住んでいる種が食われやすい)は他の要因と比べると実は小さいかもしれないことが示されました.

現在は,そうした観察から得られた生物群集のパターンを生み出すメカニズムについてより深く理解するため,何本も繰り返しのある人口の川を作って川ごとに魚がいる・いないなどの条件を変えて,その結果群集がどう変わるのかを検討する実験を計画しています.

2016年1月29日