2020年度学生実習

2020年度に行われた学生実習

研究林実習I
ILASセミナー「森での感動を科学する」
メディアセンター実習「サイバーフィジカル混成による全学向けフィールド実習教育の展開」
宇宙総合学研究ユニット実習「有人宇宙キャンプ」


研究林実習I
2020年8月25日―8月28日
研究林実習Iが行われ、64名の学生が参加しました。本年度は、新型コロナウィルスの影響により芦生研究林にて実習が行えないため、京都大学農学部にてオンライン講義と樹木識別を行いました。オンライン講義では芦生研究林の石原林長より研究林の豊富な植生やシカによる食害などの説明がありました。斜面に沿った樹木種組成の変化を技術職員が撮影した360°画像を用いて説明し、フィールドに近い学びを試行しました。樹木識別では技術職員が芦生研究林で前日採取し持ってきた葉や枝を使い、樹木の同定とさく葉標本の作成を行いました。
研究林内ではなく大学構内での実施となり、野外での生育環境を体験いただけなかったのは残念ですが、学生の皆さんは熱心に実習に取り組んでいました。

オンライン講義
樹木の解説
樹木の切り分け 1
樹木の切り分け 2

ILASセミナー「森での感動を科学する」
3日間のカリキュラムの1,3日目はキャンパス内での座学、2日目に日帰りで芦生を訪れ、8名の学生が参加しました。
大カツラ付近の渓流沿いで、環境により脳波にどのような変化があらわれるのか、センサーとスマホを用いて測定しました。
前日にキャンパス内で測定したデータと比較するため、3班に分かれ、水の流れや森林の音を聞き、日向と日陰の温度の違いを感じ、木の肌や水の流れに触れるなど、五感を様々に使った状態のデータを測定しました。


メディアセンター実習「サイバーフィジカル混成による全学向けフィールド実習教育の展開」

2020年9月23日〜25日

京都大学は芦生研究林をはじめ、多様な森里海のフィールド研究施設を持っています。
しかし多くが遠隔地にあり、なかなか気軽に訪れる事のできない各地のフィールドを、少しでも身近に感じてもらうにはどうしたら良いか。また、コロナ感染症の影響によりフィールドに来られなくなった学生達へ、バーチャル技術を使って現地での実習に近い体験を提供したい。
そのような思いを研究林の教職員は常日ごろから持っていました。
そしてついに、実習をバーチャルに置き換えるのではなく、フィールドでの実体験を強化するためのバーチャル技術の活用をコンセプトに、メディアセンターとフィールド研の共同研究が今年度からスタートしました。
9月23日から25日に、京都大学 学術情報メディアセンターの中村 裕一教授を始めとする教員や学生が芦生研究林を訪れ、石原林長、徳地センター長、館野准教授の案内の元、ウェアラブルカメラ、360度カメラ、3Dカメラ等を使用して研究林内を散策しました。
今回の目的は、始めて研究林に入る人が何に注目するか、森林生態系の専門家から説明を受ける前後で、森林の見方が変化するか、といったことを検証するため、カメラを使って視線の移動などを追跡しました。
コロナ対策で制限が多い中、学生達は初めての芦生研究林を堪能したようです。
研究林としては、これらの結果から、今後の講義や実習でのより効果的な解説方法を検討したり、撮影動画を編集し研究林の紹介に使いたいと考えています。

360°撮影の準備
熊剥ぎの解説

京都大学宇宙総合学研究ユニット実習「有人宇宙キャンプ」

実習「有人宇宙キャンプ」報告

11/28~29に、京都大学宇宙総合学研究ユニットの実習「有人宇宙キャンプ」が実施され、京大生3名、近畿大学生1名、産業医科大学生1名が参加しました。

この実習は人類が地球外惑星や宇宙空間で長期生存するための条件について学ぶことを目的とし、昨年度はアリゾナ州にある人工生態系Biosphere2にて行われていましたが、今年度は新型コロナウイルスのため渡米することができず、芦生研究林や瀬戸臨海実験所など国内の施設で行われることになりました。

芦生研究林では、炭素循環などの森林の機能と生態系の特性、さらに森林が人間の生存に果たす役割について、野外実習および講義が行われました。
1日目は冷たい雨が降る悪天候のため内容を短縮し、学生は天然林を見学し、炭素蓄積量推定のため毎木調査や土壌採集を体験しました。その後、屋内でVRゴーグルと現地の360度画像を用いて、実際には行けなかった調査区をバーチャルに体験しながら、教職員から地形に応じて変化する植生やリタートラップなどの説明を受け(詳細はKDDIとの連携についてを参照)、好評でした。学生は炭素蓄積・吸収量の算出方法についての講義を聞いたのち、モニタリングサイト1000(環境省事業)のデータを用いて実際に推定を行いました。
2日目は晴天となり、シカ過採食対策の植生保護柵、資料館などを見学しました。生態系の複雑さや回復力、さらに脆弱性や維持・回復の困難さを実感してもらえたようです。地球外で人類が生存するために人工的にどのような生態系を作り上げるべきかなどの話に繋がり、学生・教員から様々な質問や意見が出て、議論がはずみました。芦生研究林の教職員側としてもこれまでにない知見を得、異なる視点から自然生態系について考えさせられる実習となりました。
参加学生たちは、本実習成果を2月の宇宙ユニットシンポジウムで発表する予定です。
オンラインで参加が可能ですので、以下サイトからお申し込みください。
第14回宇宙ユニットシンポジウム
「人類は宇宙に居住できるのか?ー宇宙生物学を踏まえた教育と展望ー」

最後に、実習を終えた学生さんからの感想を掲載したいと思います。
研究林で行われる実習が、参加される学生さんにとって有意義なものになるよう、教職員一同で今後も努力していきます。

「実習のお礼」
11月28~29日の実習では大変お世話になりました。
他とない貴重な経験ができたとメンバー一同感じております。
フィールドを実際に見学でき、第一線で活躍されている研究者の皆様とお話しできてとても興味深かったです。
先生が分散投資を交えてご説明されていた、「自然環境は多様性があるからこそ安定性がある」というお言葉が心に残っています。

自然は大切である、というテーマは誰しもが思っていることだと信じております。
今回の実習では、具体的に自然がなぜ大切なのか、そして現状がどうなっているのかを目の当たりにすることができました。五感を使って学ばせていただいたことを、よいアウトプットができるよう、しっかりと今後の学習に努めたいと思います。

今回は本当にお世話になりました。
ありがとうございました。